太陽光発電の手続き|行政書士が説明会と事前周知措置を解説

近年、再生可能エネルギーへの関心の高まりを背景に、太陽光発電設備の導入が進んでいます。企業による発電事業だけでなく、住宅新築やリフォームの際に、導入を検討するケースも増えています。

一方で、全国的に太陽光発電設備を巡るトラブルが増加しており、自治体によっては条例やガイドラインを設け、事業者に対して丁寧な説明や周知を求める動きが強まっています。設置場所や規模によっては、近隣住民への「事前周知措置」や「説明会」の開催が求められる場合があります。

説明会資料の作成や周知文書の配布、行政手続きとの調整など、実務面で負担を感じる事業者の方も少なくありません。そのような場面では、行政手続きや書類作成の専門家である行政書士へ相談することで、スムーズな事業運営につながります。

この記事では、太陽光発電事業を始める際に押さえておきたい「事前周知措置」と「説明会」の基本的な考え方や注意点について、行政書士の視点からわかりやすく解説していきます。

太陽光発電で説明会・事前周知措置が必要となった背景

太陽光発電は再生可能エネルギーの普及政策の後押しを受け、全国的に急速に導入が進みました。北海道内でも広い土地を活用した大規模な太陽光発電設備が増加しており、北空知エリアでも事業計画が見られるようになっています。

一方で、急速な普及に伴い、地域住民とのトラブルが全国各地で問題視されるようになりました。特に多かったのが、次のようなケースです。

  • 工事中の騒音や振動への苦情
  • 景観悪化への反対意見
  • 反射光による生活環境への影響
  • 雑草管理不足による害虫発生
  • 豪雨時の土砂災害リスクへの不安

これまでの太陽光発電事業では、「法律上の許可が取れていれば進められる」という考え方が中心となるケースも少なくありませんでした。しかし、実際には地域住民との関係性が事業継続に大きく影響することが明らかになり、国や自治体も“地域との共生”を重視する方向へ制度を見直していきます。

事前周知措置や説明会の具体的なルールは、経済産業省が定める「再生可能エネルギー発電事業に関する説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」に基づいて運用されています。このガイドラインは、2024年4月に制度運用が開始されたもので、FIT・FIP認定を受ける再エネ事業に対して適用されます。

これにより、一定規模以上の太陽光発電設備では、「説明会の開催」または「事前周知措置」の実施が必要となりました。こうした背景から、現在の太陽光発電事業では、「許可を取れば終わり」ではなく、「地域住民への丁寧な説明と理解促進」が非常に重要な要素となっています。

FIT・FIP制度における説明会と事前周知措置の要件整理

「事前周知措置」と「説明会の開催」は、すべての太陽光発電事業が対象になるわけではありません。

まずは、

  • 不要なケース
  • 事前周知措置が必要なケース
  • 説明会が必要なケース

の3つに整理して理解することが重要です。

① 説明会・事前周知措置が不要となるケース

次のケースでは、原則として説明会や事前周知措置は不要です。

10kW未満の太陽光発電設備
いわゆる住宅用太陽光発電です。一般住宅へ設置する小規模設備については、原則として説明会・事前周知措置の対象外となります。

10kW以上でも「屋根設置」の場合
10kW以上であっても、「建築物の屋根に設置する太陽光発電」については、原則として対象外です。ただし、一部例外的に対象となるケースもあるため注意が必要です。

② 事前周知措置の実施が必要となるケース

次に、「事前周知措置」が必要となるケースです。
以下の条件に該当する場合は、事前周知措置が必要になります。

  • 10kW以上50kW未満(低圧)
  • 屋根設置ではない
  • 周辺地域等へ影響を及ぼす可能性が高いエリアではない

つまり、「低圧の野立て太陽光」が基本的な対象イメージになります。

③ 説明会の開催が必要となるケース

最後に、「説明会」の開催が必要となるケースです。
これは、地域への影響が大きい案件が対象になります。

  • 50kW以上の太陽光発電設備(高圧)
  • 低圧でも「周辺地域等へ影響を及ぼす可能性が高いエリア」の場合

50kW未満の低圧設備であっても、「周辺地域等へ影響を及ぼす可能性が高いエリア」に該当する場合は、説明会開催が必要になります。

例えば、

  • 土砂災害リスクがある場所
  • 景観への影響が大きい場所

などが該当するケースがあります。
つまり、「低圧だから説明会不要」とは限らない点が重要です。

事前周知措置と説明会では何をするのか?実施内容を解説

「事前周知措置」や「説明会」は、どちらも地域住民へ事業内容を伝えるための手続ですが、実施内容には違いがあります。

事前周知措置

事前周知措置とは、地域住民へ事業内容を事前に知らせる手続です。

主に、

  • 周知文書の配布
  • ホームページ掲載

などによって行います。

周知内容としては、

  • 事業概要
  • 設備規模
  • 工事内容
  • 防災対策
  • 維持管理方法

などを記載します。

説明会までは必要ないものの、地域住民が事業内容を把握できる状態にすることが求められます。

説明会

説明会は、地域住民へ直接説明を行い、質問や意見を受け付ける場です。

説明会では、事前周知措置における周知内容と同様に、

  • 事業概要
  • 設備規模
  • 工事内容
  • 防災対策
  • 維持管理方法

などを説明します。

また、住民からの質問や意見にも対応し、議事録などの記録を残す必要があります。事前周知措置が「周知」を目的とするのに対し、説明会は「住民との対話」が目的となる点が大きな違いです。

まとめ|太陽光発電は地域対応を含めた事前準備が重要

太陽光発電事業では、設備を設置するだけではなく、地域住民への配慮や事前対応が非常に重要になっています。特に2024年4月の制度改正以降は、一定規模以上の案件について、「事前周知措置」や「説明会」の実施が求められるようになりました。

ただし、

  • 10kW未満か
  • 屋根設置か
  • 低圧か高圧か
  • 周辺地域へ影響を及ぼす可能性が高いエリアか

によって、必要となる対応は異なります。

そのため、まずは自分の案件が、

  • 対応不要
  • 事前周知措置が必要
  • 説明会開催が必要

のどれに該当するのかを整理することが重要です。

太陽光発電事業を円滑に進めるためにも、制度内容を正しく理解し、地域との信頼関係を意識しながら進めていくことが重要です。「自分の案件は説明会が必要なのか分からない」 「手続きをまとめて相談したい」という場合は、ぜひ行政書士へご相談ください。

参考サイト

FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/index.html

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