太陽光発電の廃棄等費用積立制度を行政書士が解説|対象となる設備・積立方法

太陽光発電は、設置したら終わりではありません。長く使っていけば、いずれは設備を撤去したり、太陽光パネルを処分したりする時期がやってきます。そのときに必要になるのが、太陽光発電設備の廃棄にかかる費用です。

太陽光発電には、「廃棄等費用積立制度」という仕組みがあります。この制度については、「何のための積立なのか」「誰が対象なのか」「どのように費用を確保するのか」といった点を整理しておく必要があります。特に、太陽光発電設備を所有している方にとっては、発電中の収益だけでなく、将来の撤去・廃棄まで含めて事業を考えることが大切です。

この記事では、太陽光発電に関わる方に向けて、廃棄等費用積立制度とはどのような制度なのか、制度の仕組みや対象、積立方法について、行政書士の立場から分かりやすく解説します。

太陽光発電の廃棄等費用積立制度とは?

太陽光発電設備は、長期間にわたって使用するものですが、いつかは発電事業を終え、設備を撤去・廃棄することになります。その際には、太陽光パネルだけでなく、架台や基礎などの解体・撤去にも費用が必要です。

そこで設けられているのが「廃棄等費用積立制度」です。

この制度は、太陽光発電事業を行っている間に、将来の設備の廃棄等に必要となる費用を確保しておくための仕組みです。発電事業を終了するときになって廃棄費用を用意するのではなく、あらかじめ事業期間中に費用を積み立てておくことで、設備が適切に撤去・廃棄されることを目的としています。

廃棄等費用積立制度はなぜ必要?

太陽光発電設備は、設置して発電している間だけでなく、事業を終了した後のことまで考えておく必要があります。設備を撤去する時期になって、必要な費用を確保できていなければ、太陽光パネルなどが放置されるといった問題につながる可能性があります。

そこで、発電事業者が将来の廃棄等に必要な費用をあらかじめ確保し、設備を適切に撤去・廃棄できるようにするため、廃棄等費用積立制度が設けられました。この制度では、積立ての方法や金額にかかわらず、最終的に太陽光発電設備を廃棄する責任は発電事業者が負うことが前提となっています。

つまり、廃棄費用を積み立てているからといって、設備の処分を誰かに任せられるというものではありません。事業者自身が、事業の終了まで見据えて設備の適切な撤去・廃棄を考えておく必要があります。

廃棄等費用積立制度の対象となる太陽光発電事業者

廃棄等費用積立制度の対象となるのは、原則として「10kW以上の太陽光発電のFIT・FIP認定事業」です。

そのため、太陽光発電設備を所有している事業者すべてが対象になるわけではありません。設備の出力が10kW以上であるか、FIT制度またはFIP制度の認定を受けた事業なのか、といった点を確認する必要があります。

また、複数の太陽光発電設備による事業も制度の対象とされています。

自分の所有する太陽光発電設備が対象なのか分からない場合は、まず設備の出力やFIT・FIPの認定内容を確認してみましょう。対象となる場合には、次に「いつから」「どのように」廃棄等費用を積み立てるのかを確認することになります。

太陽光発電の廃棄等費用はどのように積み立てる?

廃棄等費用積立制度では、将来の太陽光発電設備の撤去・廃棄に必要となる費用を、発電事業を行っている期間中に積み立てていきます。ただし、事業者が自分で自由に積立額や積立時期を決めるわけではありません。制度の中で、いつから積み立てるのか、どこで管理するのか、どの程度の金額を積み立てるのかが定められています。

積立期間は調達期間・交付期間の終了前10年間

廃棄等費用の積立ては、原則としてFIT制度の調達期間、またはFIP制度の交付期間が終了する前の10年間に行います。太陽光発電事業を始めた時点からすぐに10年間積み立てるという仕組みではありません。

事業ごとに調達期間・交付期間の終了時期が異なるため、それに応じて積立てを開始する時期も変わります。制度上、最も早く積立てを開始する事業については、2022年7月1日から積立てが始まることとされており、その後は事業ごとの終了時期に応じて順次積立てが始まります。

そのため、太陽光発電設備を所有している場合は、「廃棄費用を積み立てる必要があるか」だけでなく、「自分の事業ではいつから積立てが始まるのか」を確認しておくことが大切です。

原則は外部積立て

この制度では、原則として「外部積立て」が採用されており、積立金は電力広域的運営推進機関(OCCTO)に積み立てられます。こうすることで、事業者が廃棄費用として確保しておいた資金を、別の用途に使ってしまうことを防ぎ、将来の設備の撤去・廃棄に必要な費用を確実に確保することにつながります。

また、事業者が倒産した場合でも、積立金を債権者が自由に取り戻せるわけではありません。事業を譲渡する場合には、積立金も承継される仕組みとなっています。

一方で、すべてのケースで外部積立てしか認められないわけではありません。一定の条件を満たす場合には「内部積立て」が認められる場合があります。内部積立てでは、使途を限定した預金口座で管理する方法や、財務諸表への廃棄等費用の計上など、廃棄等費用を確実に確保できることが求められます。

廃棄等費用の積立額はどのように決まる?

外部積立ての場合、基本的には、その事業の調達価格・基準価格を決める際に想定されていた廃棄等費用をもとに積立額が設定されます。そして、実際の積立ては供給した電力量(kWh)をベースに行われます。そのため、認定年度によって積立単価が異なります。

例えば、資源エネルギー庁が示している積立基準額では、以下のようになっています。

認定年度解体等積立基準額
2012年度1.62円/kWh
2013年度1.40円/kWh
2014年度1.28円/kWh
2015年度1.25円/kWh
2016年度1.09円/kWh

つまり、単純に「設備1基につき毎月○万円」というように一律の金額を積み立てる仕組みではありません。実際に供給した電力量に応じて、決められた単価をもとに積立額が計算されます。

このように、廃棄等費用積立制度は、「将来のために事業者が任意で貯金しておく」というものではありません。積立てを行う時期や方法、積立額の考え方まで制度として定められており、発電事業を続けながら将来の撤去・廃棄費用を確保していく仕組みになっています。

太陽光発電設備を所有している方は、自分の設備が制度の対象になるのかを確認したうえで、調達期間・交付期間の終了時期や、実際の積立状況についても確認しておくとよいでしょう。

まとめ|太陽光発電は廃棄・撤去まで見据えた準備が大切

太陽光発電は、発電している間だけでなく、将来的に設備を撤去・廃棄するときのことまで考えておく必要があります。

廃棄等費用積立制度は、そのときに必要となる費用をあらかじめ確保しておくための制度です。原則として10kW以上のFIT・FIP認定事業が対象となり、調達期間・交付期間の終了前10年間にわたって積立てを行います。

また、積立金は原則として外部積立てとなり、電力広域的運営推進機関(OCCTO)によって管理されます。積立額についても一律ではなく、認定年度や供給電力量などに応じて決まるため、自分の設備がどのような条件になっているのかを確認しておくことが大切です。

太陽光発電設備を所有している方は、「自分の設備は積立制度の対象なのか」「いつから積立てが始まるのか」「どのくらいの費用が積み立てられているのか」を一度確認してみるとよいでしょう。

太陽光発電は、設置して発電するところがゴールではありません。将来の撤去・廃棄まで見据えて準備しておくことで、事業を最後まで適切に終えることにつながります。

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