妹背牛の行政書士が解説!農業法人の定款作成と事業目的

農業法人を設立するときに、定款の作成で悩みやすいのが「事業の目的」です。

「農業」とだけ書いておけばいいのか、それとも農産物の販売や加工、作業受託なども入れておいた方がいいのか。これから農業法人を設立する方にとって、どこまで事業目的に記載すればよいのかは、分かりにくいポイントの一つです。

事業目的を考えるうえで大切なのは、現在行っている事業だけではなく、今後取り組む可能性のある事業まで含めて、該当しそうなものをできるだけ漏れなく検討しておくことです。

この記事では、妹背牛や北空知エリアで農業法人の設立を考えている方に向けて、行政書士の視点から、定款に記載する事業目的について解説します。

定款に「事業目的」を記載する理由

法人を設立するとき、定款には「事業目的」を記載します。会社として行う事業の範囲を明らかにするものなので、定款を作成する際には重要な項目の一つとなります。

基本的には、現在行っている事業だけでなく、今後行う可能性のある事業も含めて検討することがポイントです。

事業目的とは何を定めるもの?

事業目的とは、会社が「どのような事業を行うのか」を定款に定めるものです。単に会社の仕事内容を説明するだけではなく、法人として行う事業の範囲を明らかにするという意味があります。

また、事業目的は登記事項でもあるため、登記簿謄本などを通じて取引先や金融機関などの第三者から確認することができます。そのため、「この会社は何をする会社なのか」を対外的に示す役割もあります。

さらに、事業目的は許認可との関係でも重要です。

建設業、宅地建物取引業、古物営業、飲食店営業など、法律上の許可や登録等が必要な事業では、申請時に定款や登記上の事業目的が確認されることがあります。

そのため、事業目的を決めるときは、現在行っている事業だけでなく、今後行う可能性のある事業や、許認可が関係する事業まで考えて設定することが大切です。

将来の事業まで考えておく理由

法人設立後に新しい事業を始めることになった場合、事業目的の追加や変更が必要になるケースがあります。その場合、定款の変更だけでなく、内容によっては登記の変更手続きなども必要になります。

しかし、法人を設立する段階で今後の事業展開をある程度考えておけば、後から事業目的を追加する手間を減らせる可能性があります。そのため、事業目的を決める際には、「現在の事業」と「将来の事業」の両方を一度整理しておくことをおすすめします。

ただし、将来やる可能性がほとんどない事業まで、何でも記載すればよいというわけではありません。

実際の事業内容や今後の経営計画を踏まえ、「この法人で行う可能性がある事業は何か」を考えながら、必要なものを漏れなく検討することが大切です。

事業目的は、法人の将来の事業展開にも関わる重要な項目です。「とりあえず今やっている事業だけを書く」のではなく、これから法人として何をしていきたいのかを考えたうえで、具体的に整理していきましょう。

農業法人の事業目的に入れておきたい具体例

農業法人の事業目的を考えるときは、「農作物を作る」という生産活動だけでなく、農業に関連して行う可能性のある事業まで幅広く検討しておくことがポイントです。

農畜産物の生産、貯蔵、運搬、加工および販売

農業法人の基本となる事業目的です。「農畜産物の生産」だけではなく、収穫した農畜産物の貯蔵、運搬、加工、販売まで含めています。

農業経営では、生産したものを保管して出荷したり、加工品として販売したり、取引先へ運搬したりするなど、生産以外の業務も発生します。

将来的に、自社で生産した農畜産物を加工して商品化する、販売先を広げるといった展開を考えているのであれば、こうした関連業務まで含めて事業目的を検討しておくとよいでしょう。

農畜産物の直売所、インターネット販売サイトの運営

農畜産物を消費者へ直接販売する場合には、直売所の運営やインターネット販売なども事業として考えられます。

たとえば、自社の農場に直売所を設けて農産物を販売するほか、オンラインショップを開設して全国の消費者に販売する方法もあります。

将来的に消費者への直接販売を始める可能性があるのであれば、設立時に事業目的として検討しておくとよいでしょう。

農業体験学習の企画、運営

農業を「生産する場」としてだけではなく、体験や教育の場として活用する事業も考えられます。

たとえば、田植えや稲刈り、野菜の収穫などを体験してもらう農業体験学習です。学校や地域団体、観光客などを対象として農業体験を行う場合には、単なる農作業とは異なる事業として考えることができます。

将来的に、農業体験や食育などを事業として行う可能性があるのであれば、「農業体験学習の企画、運営」を事業目的に含めることを検討します。

農作業の代行、受託および請負

自社の農地で農業を行うだけでなく、他の農業者から依頼を受けて農作業を行う場合には、農作業の代行、受託、請負も事業目的の候補になります。

たとえば、耕起、播種、収穫などの作業を他の農業者から依頼されて行うケースです。

農業機械や人員など、自社が持っている農業経営上の資源を活用して、他の農業者の作業を請け負う可能性がある場合には、あらかじめ検討しておきたい項目です。

農機具等の製造、修理、買取、販売、貸付および運搬

農機具などを扱う場合には、単に自社で使用するだけでなく、製造、修理、買取、販売、貸付、運搬といった事業まで考えられます。

たとえば、使用しなくなった農機具を買い取って販売したり、所有する農機具を他の農業者に貸し付けたりするケースです。

事業として展開する予定はなくても、こういった事例が起こる可能性がある場合には、事業目的の候補になります。

飲食店、観光農園の経営

農業と飲食・観光を組み合わせた事業も考えられます。

たとえば、自社で生産した農産物を使用した飲食店を経営したり、収穫体験などを提供する観光農園を運営したりするケースです。

現在は農業だけを行っている場合でも、将来的に「生産したものを自分たちで加工して提供する」「農場そのものを観光資源として活用する」といった事業展開を考えているのであれば、設立時に検討しておくとよいでしょう。

除雪、排雪の受託

農閑期などに農業以外の仕事を行うこともあります。その一つとして考えられるのが、除雪・排雪の受託です。

地域の事業者や個人などから依頼を受け、所有している車両や機械、人員などを活用して除雪・排雪を行う場合には、こうした事業も事業目的として検討できます。

特に、冬期間の仕事として継続的に除雪・排雪を受託することを想定しているのであれば、農業とは別の事業として、設立時から事業目的に含めておくことを検討するとよいでしょう。

まとめ|農業法人の事業目的は将来の事業展開まで検討

農業法人の定款を作成する際は、現在行っている農業だけを考えて事業目的を決めるのではなく、将来的にどのような事業を行う可能性があるのかまで考えて、できるだけ漏れなく検討することが大切です。

もちろん、これらをすべて事業目的に入れればよいということではありません。実際に行っている事業に加えて、今後取り組む可能性がある事業を洗い出し、自分の法人に必要なものを選ぶことが重要です。

また、許認可が必要な事業については、事業目的に記載するだけで許可を取得できるわけではありません。実際に事業を始める際には、必要な許認可や届出などについても別途確認する必要があります。

事業目的は、法人を設立した後に追加・変更することもできます。しかし、その場合には定款変更や登記変更などの手続きが必要になることがあります。

だからこそ、法人設立の段階で「今はやっていないけれど、将来やるかもしれないこと」まで一度整理しておくことをおすすめします。

妹背牛や北空知エリアで農業法人の設立を考えていて、どこまで事業目的に入れておけばよいのか、具体的な書き方が分からないという場合は、行政書士に相談しながら検討すると安心です。

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