遺言書と相続対策|遺言書と遺産分割協議の優先順位を解説

相続が発生した際、「遺言書がある場合と遺産分割協議を行った場合、どちらが優先されるのだろう?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

例えば、亡くなった方が遺言書を残していたものの、相続人同士で話し合った結果、遺言書とは異なる方法で遺産を分けたいと考えるケースもあります。

相続手続きを進める場合も、まずは遺言書の有無や内容を確認し、相続人や相続財産の状況に応じて適切な手続きを進めることが大切です。遺言書と遺産分割協議の関係を正しく理解していないと、相続人同士の認識に違いが生じ、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。

この記事では、「遺言書と遺産分割協議はどちらが優先されるのか」という基本的な疑問について、両者の違いやそれぞれが必要となるケースを行政書士がわかりやすく解説します。妹背牛や深川など北空知エリアで、相続手続きを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

遺言書と遺産分割協議の基本的な違い

相続手続きを進めるうえで、「遺言書」と「遺産分割協議」はどちらも重要なものです。しかし、それぞれ目的や役割が異なります。

遺言書は、亡くなった方が生前に「自分の財産を誰に、どのように残したいか」という意思を示すための書類です。一方、遺産分割協議は、相続人全員で話し合い、遺産をどのように分けるかを決める手続きです。

両者の違いを理解しておくことで、相続手続きを進める際に「まず何を確認すればよいのか」がわかりやすくなります。

遺言書とは?亡くなった方の意思を示す重要な書類

遺言書とは、亡くなった方が自分の財産について、「誰に」「どの財産を」「どのように残すのか」といった意思を記した書類です。

例えば、「自宅の土地と建物は配偶者に相続させる」「預貯金は子どもたちに分けて相続させる」といった内容を遺言書に記載することができます。

有効な遺言書が残されている場合、原則として相続手続きはその内容に沿って進められます。そのため、相続が発生した際には、まず遺言書が存在するかどうかを確認することが重要です。

ただし、遺言書であればどのようなものでも有効になるわけではありません。法律で定められた方式や要件を満たしていない場合、遺言書の有効性が問題となることがあります。また、遺言書の内容によっては、遺言書に記載されていない財産について別途手続きが必要になるケースもあります。

遺産分割協議とは?相続人全員で財産の分け方を決める手続き

遺産分割協議とは、相続人全員で話し合い、亡くなった方が残した財産を誰がどのように取得するのかを決める手続きです。

遺言書がない場合には、相続財産を分けるために遺産分割協議を行うことが一般的です。相続人同士で話し合い、全員が合意した内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめることで、その後の相続手続きを進めやすくなります。

遺産分割協議を行う際に重要なのは、原則として相続人全員が参加し、合意する必要があるという点です。一部の相続人だけで話し合って決めた場合、後から問題になる可能性があります。

また、遺産分割協議を始める前には、誰が相続人なのか、どのような財産があるのかを正確に確認することも重要です。預貯金や不動産だけでなく、その他の財産についても整理したうえで話し合いを進める必要があります。

遺言書と遺産分割協議はどちらが優先される?

相続手続きを進める際に、遺言書と遺産分割協議では、結局どちらが優先されるのでしょうか。

結論からいうと、法律上有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容が優先されます。ただし、すべてのケースで遺産分割協議が不要になるわけではありません。

原則として有効な遺言書が優先されるのは、民法が、被相続人に対して「遺言によって相続の内容を定める権限」を認めているためです。

民法では、相続人が誰になるのか、また相続人がどの程度の割合で相続するのかについて、法律上の基準が定められています。しかし、その一方で、被相続人は遺言によって、法定相続分とは異なる相続分を指定することができます。また、被相続人が遺言によって遺産の分割方法を定めることも認められています。

よって、相続人は遺言に従って、その財産を承継するのが原則です。

遺言書と異なる分け方はできるのか?

有効な遺言書がある場合でも、相続人全員が話し合い、遺言書とは異なる方法で遺産を分けたいと考えることがあります。結論からいうと、一定の条件を満たす場合には、遺言書とは異なる方法で遺産を分けることができます。

例えば、遺言書に「不動産は妻に相続させる」と記載されていたとしても、妻を含む相続人全員が話し合い、「不動産は長男が取得し、その代わりに預貯金を妻が取得する」という内容に合意したとします。このように、遺言書の内容について権利を持つ者全員が合意することで、遺言とは異なる分け方を行うことも可能です。

ただし、「相続人全員が合意すれば必ず変更できる」と単純に考えることはできません。遺言によって相続人以外の人が財産を取得することになっている場合、その人の権利も関係するためです。

例えば、遺言書に「相続人ではない孫に〇〇を遺贈する」と記載されている場合、その財産については相続人だけの話し合いで自由に処分することはできません。このような場合には、その遺贈を受ける人も含め、遺言によって財産の取得に関係する者全員の意思を確認する必要があります。

また、遺言執行者が指定されている場合も注意が必要です。遺言執行者は、遺言の内容を実現するための立場にあり、相続人による財産の処分や手続きとの関係を慎重に確認しなければなりません。遺言執行者が指定されている遺言について、遺言とは異なる遺産の分け方を行う場合には、遺言執行者の権限や関与の必要性を確認したうえで手続きを進めることが重要です。

相続人以外への遺贈がある場合や、遺言執行者が指定されている場合には、相続人だけで判断して手続きを進めるのではなく、遺言書の内容と関係者の権利関係を十分に確認することが重要です。

まとめ|遺言書と遺産分割協議の関係を正しく理解しよう

相続では、まず法律上有効な遺言書があるかどうかを確認することが重要です。

有効な遺言書がある場合、原則として、被相続人が遺言によって示した意思に従って相続手続きを進めます。民法では、被相続人が遺言によって法定相続分とは異なる相続分を指定したり、遺産の分割方法を定めたりすることが認められているためです。

一方で、一定の条件を満たし、遺言によって財産の取得に関係する人全員の合意がある場合には、遺言書とは異なる方法で財産を分けることができるケースもあります。特に、相続人以外への遺贈がある場合には、相続人だけで判断するのではなく、その遺贈を受ける人の権利も考慮しなければなりません。

また、遺言執行者が指定されている場合には、その権限や遺言の内容との関係についても慎重な確認が必要です。

相続の手続きでは、遺言書があるかどうかだけでなく、その内容が有効か、どの財産が対象となっているか、誰が財産を取得する権利を持っているのかによって、必要な対応が異なります。

まずは遺言書と相続財産の内容を正確に確認し、関係者を整理したうえで手続きを進めることが大切です。不安や疑問がある場合は、個別の事情に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

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